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 あたしがいつから彼らの存在に気がついたのかは定かでない。
 彼らは一つの人格と名前と姿を持ってあたしの前に現れる。
 一人でぼんやりしている時もあれば二人以上で雑談をしている時もある。ただ抱きあって寝転がっているだけのときもある。泣き笑いの表情で一方が一方を傷つけていたり、一人で音もなく泣いていたりする。
 あたしは彼らに触れることができないが、彼らの体温を知っている。それは抱きしめた毛布にうつった自分の体温と一緒だ。
 冷たい空気になでられひんやりとした温度を伝える。瞼を開ければ見慣れた天井だ。階下から声が聞こえる。「もう七時だよ」 わたしは左手をわきへ伸ばす。寝ている妹がそこにいた。
 起き上って頬をぺちぺちと叩いてやった。妹の瞼が震える。「    」わたしは妹に覚醒を促した。妹は枕元からスマートフォンを取り上げ時間を確認する。
「おはよう」
 妹は起きる。「やばい、寝坊だ」うつ伏せにかえると少し柔軟をしてから起きる。
 わたしも起立して階段を下りた。
「    」
 彼らのうちの一人が何かを言ったが、うまく聞き取れなかった。
 


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