からり　と　笑う
　あなた　が　憎い
　と　わたし　言った　ならば
　あなた　笑って　戸惑ったように　笑って　みせた
　なにも　考えては　いないのだと
　知って　いたけど　気付かないふりを
　ごめんなさい　最後までは　することが　できなかった
　気付いてしまった　わたし　
　あなた　が　憎い　の　かもしれない　のだろうかと
　保留　いつまでも　曖昧な　留保の中で
　棚に上げた　問題が　落ちてくる　
　わたしたちの　手の平の　上に
　笑顔の　上に　かかる　
　巨大な雲の　影のように
　わたしは　眠い　なにもかも
　四肢を　心臓を　押し広げてゆく　なにもかも
　水が
　水が　音もなく　忍び寄ってきては　満ちる
　あなたの　身体に　月が
　月が　かかる　雲と共に
　憎い　憎い
　あなたの　緩慢な　美しさが
　憎くて　憎くて　たまらない

　遣る瀬無い憎悪
　に　蝕まれ
　意味のない　言葉
　探している
　真実の　意味で　意味を　持たない　言葉など
　音の羅列でしかなくても
　存在しない
　存在しない
　心が　それを　受け取ってしまう心が
　存在するうちは
　わたしは　あなたへ憎しみを　忘れないだろう
　あなたは　わたしがあなたを憎むことを　忘れないだろう
　失くした　ものか
　与えられなかった　ものか
　とにもかくにも　わたしは
　あなたに　愛を　あなたへの関心を
　あなたの目の前で壊すだろう
　夏の虫を啄む鳥が
　コンビニで買ったパンが
　牛乳に溶かしたインスタントコーヒーの粉末が
　あなたを　ゆるしは　しないだろう

　それでもあなたは
　生の存続を、その選択を、続けると　いうのか