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海が 満ちる
脊椎に
わたしは 昔、そこにいた。
底にいたような 気がするのだけれど
今はもう
狭苦しい羊水の中に
背骨を丸めて
苦しい息を喘ぎ喘ぎついている。
鳥かごの中
水槽の内側
清潔な 不清潔な
雑菌 殺菌
ぼくは わたしは
そこにいた
そこにいた ように
思っているのだけれど
嘘かもしれない
作り事かもしれない
絵空事かもしれない
わたしは かつて
どこにいたの?
今は 今の
ここはどこなの?
海が 満ちて
風が吹く 潮風が
頬を撫でては 過ぎ去って、ゆくよ
ぼくは 悲しい
生きていられない
行き過ぎてはいられまい
苦しい 苦しい 浅い 呼吸が
肺が
腹部が
緊張して 浅く浅く 求めている 呼吸が 存在しない よ
ああ、嘘だと言ってよ!
水槽の 中に沈んだ石ころたちは
黒く暗く 輝くことはなかったでしょう!
椎間板が 壊れ 漏れ出す 液体
こぼれ 圧迫される 神経の 痛みが
今日も わたしの眠りを阻害する
殺しに来てよ!
まだそのときじゃないよ
静かに広がる水が
机を伝って滴り落ちるよ
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