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きみのいうこと


 きみのいうこと に 耳を傾ける
 のが、 ぼくは 結構好きだ。 と
 云ったら、きみは。少し吃驚したようで、困ったように笑った。
 そんなことないよ、とは 云えないきみの
 優しさ の 欠片。 の、ようなもの。 気遣い?
 そういうんが 好きなんだって 伝えた。
 ずいぶんとおい 日のこと の ように 思える。

 きみのいうこと は たいてい
 くだらないことである と 知っている
 でも、ぼんやりきくには うってつけ
 てきとうな相槌でも きみは 怒ったりはしなかったね きみは
 ぼくに話しかけているわけでは なかった、から

 きみのいうこと は ぼくの 耳を通り抜ける
 人間の心になどお構いなく 吹き抜ける風のようだ たまに
 荒れ狂う嵐のごとく まれに 凪いだ海のごとく
 きみのいうこと は いちいちくだらない 
 、ので ぼくは。 心を乱されないように、気を配る。

 きみのいうこと が ぼくは 決して嫌いではないけれど
 ときどき ほんの ときどき
 ぼくは とっても 悲しくなる
 きみは ぼくに 伝えたいことがあるわけでは ないんだ、ろう?

 結構、好きだ、と。嘘いつわりのない言葉。
 そんなことないのでしょうと 口をついて飲み込んだ、言葉。悪意の欠片、の、ようなもの。
 きみのいうことは ぼくに とどかない
 (ので、ぼくは 今日も)
 きみのいうこと に 耳を傾ける

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