顔を合わせたときに忍び寄る
お互いに抱えた一物を
さらに奥へ押しやる、そんな気配
そんなつもりもないはずなのに、
どうしてもどうしても
警戒しあう 切っ先を
つきつけずにはいられない
半身をひねって
目をそらせずに
不断に笑って
腹の中身を覗こうとする
(グロテスクな内臓)
互いに知っているのだ 我々は
所詮肉の塊でしかないのだと
意思だの精神だのといって
削れる音は響かないのだと
笑いを引っ込められないまま
むしろ哄笑に引きずり込まれて
ふと 互いの顔を見るのだ
その目に光る涙を
慮ってみないふりをするのだ
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