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素直な好意の返礼に対する一考察


 水曜日と金曜日には出掛けます。どっちだったかな。
 靴を買わなきゃな、靴を。一時間、二時間、三日間四週間歩いても壊れない靴を。
 靴下も穴空きだ、代えを用意しなくっちゃあ。
 思い起こせば、積み重ねてきたものだった。祈りとか徒労とか、そういうものが高く低く折り重なって
 塔と為って連なって、眠りの中に溶け込んでいる。サイダーの泡のごとき夢。
 好意に好意を返せない。不器用だから損まみれだ。利はあらずとも理に従って。
 歪曲した素直さが軋んだ音を立てながら虚像を結ぶ。
 繰り返し記号が示す地平線。跳んだ先の五線譜が鐘に倣う。
 何百、何千億光年とか とっぴょうしもないイロイロが
 今日も頭上で言葉を交わす
 僕は穴の中
 間違っている 間違っていると
 鳥は鳴き喚く。
 今日の僕は昨日の僕ではなく、
 明日の僕は一寸先で灯って消える。
 世界はまた一つ色を見つけ出しました。一つの音と引き換えに。
 鮮やかな沈黙が塗りつぶす世界にたゆたう水草の先
 小さな花が咲きました。
 その花を魚が飲み込んで、世界は一つ色を失いましたが、
 魚の鱗は金銀に煌めき
 深海に光をもたらしました。
 これが僕の神話です。
 水曜日か金曜日に遠出します。
 とはいっても、宇宙の先を出ることはかなわないので、
 ひとまず地上に適した靴を買いに参ります。

 アネクメーネに雨が降る
 翳った光はゆらゆら振れて
 水を孕んだ風が流れる
 さよなら さよなら
 もう二度とはお会いできますまい
 手を振りながらそう告げる
 何を言ってももうおしまいだ……




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