所詮メモに過ぎないこの言葉の連なり　文章　並び替え
　約三十連にわたる誰かの嘆き、嘘、怒り
　悲しんでいる暇のない農家　リンゴを収穫する　私がソレを一口かじる
　さほど躊躇いもせず、何の罪の意識も抱かずに
　うそ　ほんの少し戸惑っている
　目の前で舞う蝶のように　風に煽られ　どこまでも飛んでいきたい　
　うそ
　飲みさしの紅茶を精密機械の上に溢してしまったわ
　なんてことでしょう
　こんなところでお茶会なんて、するもんじゃなかった
　毎回そう言っている気がする
　うそ　昨日の妹の科白
　うそ　一昨日弟が母を殴った
　うそ　父のいびき
　うそ　曾祖父の葬式、祖母の戒名
　墓。
　
　カエルが鳴いているわ　今日生まれたカエル
　うそ　孵ったばかりの彼らはまだ泣けないわ
　うそ　だって食べられちゃったじゃない跡形もなく
　うそ　その用水池は埋め立てられたのよ
　うそ　そうして墓場になったのよ　何千もの生物を塗りつぶし眠らせた
　うそ　そう、ぼくらは嘘ばかりついている

　引用してください
　参考になさってください　
　それがあなたのためになるならば
　参照してください
　例外にしてください　例示に使うのであれば
　咽頭かたむけないでください
　あなたはどこへも行けないでしょう
　そうやって呪われたのでしょう
　うそ
　
　花束が沈んでいくわ